煎餅で酸化銅(Ⅱ)の還元

【概要】

 酸化銅の還元は中学2年生の化学分野で取り扱われる実験である。通常、酸化銅と炭素の混合物を用いるが、今回は酸化銅と炭水化物である煎餅の混合物を用いて実験を行った。

 

【実験】

・準備

ガスコンロ,試験管1本,蒸発皿,三角フラスコ(試験管でも可),気体誘導管,薬さじ2本,薬包紙,スタンド,乳鉢・乳棒,銅粉末,煎餅,石灰水

 

・実験

1.銅粉末を蒸発皿に入れて加熱し、酸化銅にする。

2.酸化銅と煎餅を約40:6の割合で乳鉢に入れ、よく混ぜ合わせる。

3.2の混合物を薬包紙に移し、乾いた試験管に入れ、スタンドに取り付ける。※試験管が割れるのを防ぐために試験管の口の方を少し下げる。

4.試験管に気体誘導管を取り付け、石灰水をいれた三角フラスコに管の先を入れる。

5.ガスコンロで試験管を加熱する。

6.気体の発生が無くなったら、三角フラスコから管を抜いた後に加熱を止める。※石灰水の逆流を防ぐため。

7.試験管が冷めたら、スタンドから取り出し、中身を観察する。

8.試験管の中身を蒸発皿に移し、薬さじでこする。

 

・観察

 ・銅を加熱すると、オーロラのような色になり、その後黒くなった。

 ・石灰水は白く濁った。

 ・酸化銅と煎餅の混合物は加熱すると茶色で光沢のある粉末となった。

 ・試験管内に水滴が観察できた。

 

【説明】

1.反応式

酸化銅と煎餅の反応式…

2CuO + Cx(H₂O)y → 2Cu + H₂O + CO₂

酸化銅と炭素の反応式…

2CuO + C → 2Cu + CO₂

炭水化物内のH₂Oはそのまま水として発生するため、酸化銅と炭素の反応は同じであると考えて良い。

 

2.炭素の代わりの煎餅

酸化銅と炭素はよく混ぜ合わせないと反応が上手く進まないにも関わらず、酸化銅と炭素はどちらも黒色の粉末であるため、混ざっているかよくわからなくなってしまう。そこで煎餅を用いることで色の区別を明確にし、混ざり具合を確認することができる。また、この反応では水と二酸化炭素の両方が生成されるため、試験管の口を下げる、火を止める前に石灰水に入っている管を抜く、など実験に必要な知識を再確認させることもできるのではないかと思う。

 

3.加熱時の銅の色の変化

銅を加熱すると、茶色→オーロラのような色→黒、と色が変わる。これは、加熱時に薄い酸化被膜が出来ることで光の干渉現象が起こり、色が変化する。CDの裏面やシャボン玉と同じ現象である。

 

【実験での注意点】

  • 石灰水は時間をおくと、空気中の二酸化炭素を取り入れ白く濁ってしまうため直前に調製することが好ましい。
  • 高い温度で加熱する。※試験管が赤熱しないようにする。

 

 

※解説+実験動画は下記のリンクから