せっけんをつくる

【概要】

油脂に水酸化ナトリウムを加えて、油脂を鹸化(加水分解)させることで高級脂肪酸のナトリウム塩(セッケン)を得た。

 

 

【詳しい話】

1.化学反応

油脂に水酸化ナトリウム(強塩基性)を加えることで鹸化し、脂肪酸ナトリウム塩とグリセリンが得られる。

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反応式

2.セッケンの性質

セッケンの基本構造は上記に示したようにR-COONaであり、Rは疎水性、COONaは親水性であるため水にも油にも溶けやすい。セッケンは水溶液中で疎水基を内側に、親水基を外側に持つ球体であるミセルコロイドをつくっており、このミセルコロイドが油滴を囲い、油滴を微粒子として分散させる乳化という作用によって油汚れが落ちやすくなる。しかし、Mg²⁺やCa²⁺を含む硬水中では塩析が起こるため、セッケンは機能しにくくなる。

 

 

【実験】

・準備(2人分)

ラニュー糖6g グリセリン4ml 水酸化ナトリウム水溶液(NaOH6.4g+水30ml) 牛脂24g ヤシ油12g ひまし油6g エタノール20ml 沸騰石3粒 薬さじ3本 ピペット 300mlビーカー 100mlビーカー コンロ 温度計 食紅等 プラカップ 紙コップ ハサミ

 

・操作(2人1組)

1.透明化剤として、グラニュー糖を薬包紙に6g、グリセリンを50mlビーカーに4ml準備しておく。

2.100mlビーカーに水酸化ナトリウム水溶液(NaOH6.4g+水30ml)を調整しておく。

3.牛脂24g、ヤシ油12g(それぞれ湯煎で溶かしておく)、ひまし油6gを薬さじを用いて直接300mlビーカーに量り取る。

4.エタノール20mlと沸騰石3粒を3に加える。

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5.弱火で加熱し、水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加えていく。温度計を用いて静かにかき混ぜながら、70-75℃を保つ。

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6.油層と水層の界面に注意し、油層が完全に消失するまでかき混ぜる。→75℃を超えたり、発泡が激しくなったりしたら加熱を停止し、ビーカーをコンロから降ろす。

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油層と水層に分かれている

7.油層が見えなくなったら加熱を停止し、グラニュー糖6g、グリセリン4mlを加え、食紅等で着色する。

8.7をプラカップに注ぎ、放冷する。

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着色はしなかった

9.完全に固化(1日程度置く)してから取り出して、手で形を整える。

 

・注意点

1.温度が上がりやすいため、泡の発生が激しくなったり突沸が起こりそうになったら、すぐに加熱を停止する。沸騰石を入れても突沸しやすく、突沸した場合水酸化ナトリウムが飛び散る、油がコンロにかかるなど大変なことになるため特に加熱時は注意を払って操作を行うようにする。

2.温度計はかき混ぜる棒として用いて良い。

 

【考察】

1.エタノール使用の理由

 エタノールは油脂と水の両方に溶けるため、使用することで反応しやすくなる。→入れなくても良いが、そうすると反応が遅くなる。

 

2.グリセリン、グラニュー糖(透明化剤)の役割

 セッケン分子は冷えて固まる。その際に親水性であるグリセリンとグラニュー糖を加えることで、水を取り込みながら結晶化し、大きな結晶になる。

 

【ちなみに】

 実験で作成したセッケンを2、3日後に見てみたら二層に分かれていた。

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分かりづらいが二層になっている

おそらく油層が見えなくなるまで加熱せずに次の段階にいってしまったため加水分解が充分に行われなかったのだと思う。優しい香りだが、水酸化ナトリウムが残ったままのセッケンになってしまった。